2021.03.08

緊急事態宣言再延長に伴う協力金、賛成か反対か、必ず道はある

こんにちは、

東京都議会議員(町田市選出)

無所属 東京みらい おくざわ高広です。

 

さて、今日は飲食店等の感染拡大防止協力金に関する補正予算が上程され、全会派賛成で可決しました。

この予算は、緊急事態宣言の再延長に伴い計上されるものなので、医療提供体制やセーフティネットなど、様々な角度から質疑が行われました。

緊急事態宣言の再延長そのものに対しては、都議では残念ながら意思決定に関わることはできません。そのような中で、本補正予算に「反対」することで一石を投じることも必要なのではないかとギリギリまで悩みました

特に、今回は急なスケジュールとなり、質疑や担当局とのやり取りを行う前に賛否を届け出なければならないというイレギュラーな対応を迫られていました。

都議会では、予算案に「反対」することは、強烈な意思表示であると同時に、前向きな意見交換がしにくくなります。(あくまでも個人的見解です)
一方で、「賛成」に向けた意見交換となれば、問題点を指摘し、改善を促していけるという面もあります。(これも個人的見解です)

会派内でギリギリまで議論を行い、「賛成」でいくこと、ただし、協力金の一律給付の問題点とセーフティネットの必要性を都庁に認めてもらうことを最低限のラインとして都庁との意見交換を進めることとしました。

↑ここまで金曜日の21時~24時の話

 

という流れで、さっそく前向きな答弁をいただくための調査スタートです。

金曜日は、そのまま新宿でホテルをとり、土曜日は終日、国や都の再延長に至る発言の変遷や私どもに寄せられている意見をまとめた上で、問題点を炙り出しました。(見にくいですが、下図の通り)

これで変化を起こせなければ、SNS等で発言してきたことと違う行動をとることになってしまうので、議場からの退席、その後の身の処し方も含めて悩み続けた二日間でした。

この間にお会いした方からは、目が怖い、白髪が増えている、眉間のしわが深い、顔色が悪いといったご意見をいただきました。。。

 

そして、今日迎えた質疑には、斉藤れいな議員が臨み、3つの変化を生み出すことができました。

✔協力金については、一律ではない考え方について国に要望するとともに、国が基準を決め次第対応する

✔️セーフティネットについては、社会情勢を的確に見極めながら必要な対策を講じる(今が充分とは思っておらず、必要な対策は行っていく)

✔️ワクチン接種後も今と同じ医療体制(5000床)を確保する

なんだ、そんなことかと思うかもしれませんが、議場において最低限のクサビを打つことにはなったと考えており、ここを起点に次の提案をしていくことにつながると考えています。

たった5分の質問でしたので、事業者や都民の皆さんのお気持ちを全て代弁することは叶いませんでしたが、引き続き、もてる力を最大限に使って、新型コロナ対策の改善を促していきます。

必ず道はある。

そう言い聞かせて頑張ります。

なお、今日は国際女性デーということで、黄色いミモザを片手に。

 

以下、斉藤れいな議員の質疑全文と森沢きょうこ議員の討論全文です。

動画はこちらからご覧いただけます。

3月8日(月) 質疑

→ 3時間27分頃~斉藤れいな議員 5時間25分頃~森沢きょうこ議員

≪斉藤れいな議員≫

無所属 東京みらいを代表して質疑を行います。
今般上程された補正予算は、「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」でありますが、緊急事態宣言の再延長に伴うものであり、この間に都が講じるべき対策についても一体的に議論すべきとの考えから質問を行います。

まず、医療提供体制について、国は「病床の使用率が高い地域がある」とし、医療への負荷を減らす必要があるとしていますが、そのためには「感染者を抑えること」と「医療提供体制を強化すること」の両面からのアプローチが必要です。今後の本格的なワクチン接種に向けて、新型コロナ対応に振り向けられる医師や看護師などの医療資源が今よりも少なくなることも予想され、現在の指標の分母となる病床の確保が難しくなることも念頭に戦略を立てる必要があります。
Q1.そこで、ワクチン接種と新型コロナ対応とを同時に行う場面を迎えた際に、現実的に提供可能な病床数とその確保に向けた取組について伺います。

A1.
・これまで都は、通常医療への影響も考慮しながら、重症度に応じた病床の確保を段階的に進め、現在5,000床を確保
・今後、ワクチン接種の体制確保も含め、新型コロナ患者を確実に受け入れられるよう、適切に対応

次に、「リバウンド」や「変異株」のリスクについて、国では繁華街のスクリーニングやSNSのAI解析等を用いて、その兆候を早期に掴む必要性に言及しています。また、国の感染症対策分科会の尾身会長は7つの提言を行い、客観的な指標に照らし合わせ予兆を発見した段階で、ただちに具体的な対策をうつべきなどとしています。
Q2.都においては「リバウンドを防ぐ」「変異株に備える」ために徹底的に感染を抑えるとしていますが、数値の指標だけではなく、その兆候を検知する具体的な取組が必要と考えます。見解を伺います。

A2.
・感染を抑え込むためには、変異株による感染拡大リスクも視野に入れ、リバウンド対策を徹底することが重要。
・変異株対策については、これまでも健康安全研究センターや民間検査機関でスクリーニング検査に取り組んでおり、引き続き監視体制を強化。
・さらに保健所の調査機能を最大限発揮し、リバウンドのきっかけとなるクラスターの芽を摘み取り、感染再拡大を予防。

感染症対策の基本は、検査・追跡・隔離であり、その対策の強化の必要性については度々述べてきましたが、その根幹になるのは保健所です。その体制強化について、尾身会長は「広域連携」や「現場のリーダー」の重要性を指摘しています。先般、都は保健所業務の一部を支えるトレイサー班の増員を表明したところですが、これ以上現場が抱え込むことの無いように、業務を整理し、振り分けるとともに、業務フローを改善し、情報共有や保健所間の横連携を円滑にする司令塔機能の強化をあわせて行う必要があります。
Q3.そこで、保健所の広域連携及び体制強化を行うための司令塔機能を整備する重要性について、見解を伺います。 

A3.
・効果的な感染症対策を一体的に担う常設の司令塔として東京iCDCを設置、その専門家の知見も生かしながら、保健所との連携体制を構築
・本年二月には、東京iCDC専門家ボードから、新規陽性者数が減少し、感染経路が特定しうる段階においてはクラスター対策を強化し再拡大を予防すべきとの考え方が示され、都はこれを踏まえて、適切に対処されるよう、保健所に通知
・また、都は、日頃から保健所との意見交換を実施、今後一層の連携を強化

つづいて、感染を抑えるためのアプローチについて質問します。都では、テレワークや不要不急の外出自粛などの「人の流れを抑える」対策、飲食店等の時短要請やイベントの制限、花見を避けるための都立公園の一部制限などの「感染リスクの高い行為」への対策、高齢者施設等での「クラスター」対策の3つの柱を掲げています。
こうした対策は、事業者や都民の皆様に対して一定の制約を課すものであり、ご理解の上でご協力いただくためには、信頼関係が非常に重要です。本補正予算は、ご協力いただく仕組みの一つである協力金ですが、複数の会派から「一律は不公平である」旨の指摘がなされた通り、かえって都民の信頼を失うことに繋がるのであれば本末転倒です。
本補正予算の財源は、大部分が国庫支出金ですが、その要綱には「休業補償」はできないとする一方で、要請に応じ協力する事業者に対して「売上減少額や休業中も必要となる家賃等について、その一定割合を給付」することはできるとしています。つまり、必ずしも一律、一定額である必要はないと読み取れます。また、菅総理は「事業規模に応じた対応も検討すべき」と国会で答弁しています。
Q4.こうした状況を踏まえて、実務を担う自治体こそが協力金のあるべき制度設計について、積極的に進言するとともに、国が「一律ではない協力金」の基準を決めた場合には、すぐに対応すべきと考えますが、見解を伺います。

A4.
・一都三県においては、協力金について情報共有や意見交換を行い、必要な事項については、これまでも国に要望している
・一都三県からの要望を踏まえ、国から協力金の制度設計に関する基準が示された場合には、必要な対応を検討することとしている

一方で、感染を徹底的に抑えるのであれば、飲食店への時短要請だけでいいのか、という指摘もあります。これまでの対策の効果検証と合わせて、補償とセットにしたより強力な対策によって短期間で抑え込む方向性の検討すべきと申し述べておきます。

最後に、セーフティネットについてです。宣言の再延長による経済損失は7,000億円とも言われ、コロナ解雇は都内で2万人を越えたとされています。閉店・倒産、解雇の憂き目に遭われた方々やシフトの減少等を強いられる非正規の方々、あるいは退学や休学を考える大学生、学習塾に通えなくなり進学に不安を抱える中高生に対して、私たちは全ての手を尽くしているでしょうか。
知事は、「都民の命と健康を守るため」と繰り返し強調していますが、緊急事態宣言の再延長によって、新型コロナの感染という直接的な意味合いとは異なる「命と健康の危機」が今なお広がっています。そのような状況を踏まえ、国では3月末を目途に緊急の支援策を取りまとめるとしています。
今回、イベント等の開催制限も延長されていることから、文化関係者や関連事業者、警備などの現場スタッフからも悲鳴に近い訴えが届いています。
Q5.新型コロナで苦しむ方を減らしたい、救いたい、医療従事者の負担を減らしたい、その気持ちは私たちも変わりません。しかし、それと同じように、宣言の影響で日々の生活に悩み、苦しむ方々に対して、セーフティネットを強化するためのさらなる補正予算を編成すべきと考えます。見解を伺い、質問を終わります。

A5.
・都はこれまでも、都民生活を守ることを最優先に、対策を強化してきた。具体的には、失業等により生活資金を必要とする方々への貸付の拡充、SNSによる児童虐待・DV等相談窓口の新たな開設などに取り組んできた。
・加えて、今回の緊急事態措置の延長に合わせ、緊急的な一時宿泊場所の受付期間を延長する追加対策を講じている。
・さらに、来年度は、二万人を超える雇用を創出するほか、離職者等に対する一時利用住宅の拡充を図っていく。
・今後も、状況を的確に見極めつつ、必要に応じて対応を検討していく。

 

≪森沢きょうこ議員≫

無所属 東京みらいを代表して賛成の立場から討論を行います。
本補正予算で上程された「飲食店等への感染拡大防止協力金」については、一律給付について不公平との指摘が相次いでいることを踏まえ、国から基準が示された場合には対応する旨の答弁があったことは重要です。事業者や都民の皆様のご理解とご協力を得るために最も重要なことは信頼関係であり、そのために必要な見直しであると改めて指摘しておきます。

そもそも本補正予算の背景には緊急事態宣言の再延長があるわけですが、その判断の決め手となったのは医療への負荷を減らすことがあげられます。ワクチン接種も本格化する中で、今と同じ病床数を確保していく方針が示されたことは重要ですが、そのために「感染拡大を抑える」ことと「医療体制を強化する」ことの両面からのアプローチをバランスよく行う必要があります。
そういった意味で、「リバウンドを防ぐ」「変異株に備える」ことは重要であり、トレイサー班の増強に留まらず、あらゆる手段で保健所の負担軽減とさらなる機能強化を図っていただくよう求めます。
また、保健所のいわゆる司令塔機能については、iCDCが担っていくとの答弁がありました。東京都内の保健所の特殊性も鑑みた、有事における権限と責任の所在を明確にし、円滑で一体的な意思決定を行うことができるよう検討を求めます。

本来であれば、こうした取組は宣言の出されていた2か月間で行われなければならなかったことであり、さらなるご協力をお願いすることになる以上、検査・医療提供体制の拡充・整備はなんとしてもやり遂げるよう、強く求めます。

緊急事態宣言が「もろはのつるぎ」であり、セーフティネットを強化する必要性について繰り返し求めてきました。「今後も、状況を的確に見極めつつ、必要なに応じて対応を検討していく。」との答弁があり、改めて社会情勢を注視しつつ、必要な施策を躊躇なく講じるよう求めます。
その中で、雇用についての言及がありましたが、トライアル就労で正社員化を後押しする「雇用安定化就業支援事業」についてはすでに2月19日に申し込みが終了しています。この事業の早期再開も含めた一刻も早い雇用就業対策の強化を求めます。
また、経済指標などのマクロ的な側面のみならず、例えば、高校・大学生の就学継続意向や小中高生の学習塾への通塾状況の変化など、家計の変化が将来を担う若者に対してどのような影響を及ぼしているのか注視する必要があります。
さらに、数値では測れないものではありますが、対面での協働的な学びの機会がよりいっそう減り、卒業式などの節目となる行事の中止や縮小が検討されていることは、児童・生徒の成長にとってどのような影響があるのか計り知れません。各学校や地域によりばらつきがあり、保護者からも抗議の声が聞こえてきます。学びの機会の確保、行事の開催について、感染防止対策を施した上での着実な実施を改めて呼びかけていただきますよう要望します。

最後に、宣言解除に向けた目標として、ステージ2を掲げたことは重要ですが、それに見合った対策がなっているのかという疑問の声も聞こえてきます。また、緊急事態宣言が長引く中で、重症者病床数に国と都の考えに相違があったことや、当初表明していた指標に達しても宣言の解除に至らなかったなども重なり、「メッセージ」だけで都民の方に動いていただくのは難しい状況にあると考えます。目指すべき目標とそれにふさわしい戦略を明確に示し、事業者や都民の皆様にご理解、ご納得いただいた上で再度ご協力いただけるよう取り組んでいただくことを改めて求め、討論を終わります。

 

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