2021.07.22

「女性活躍」と「Woman Empowerment」について

こんにちは、
東京都議会議員-町田市選出-
無所属 東京みらい おくざわ高広です。

さて、今日は千葉県旭市に来ています。というのも、今日から旭市議会の補欠選挙があり、とある候補者の応援にきているからです。

市役所はこの4月に建て替えられたとのことで、とってもキレイ。裏にある公園の更なる有効活用にも思いを馳せます。

選挙カーを運転して届けて、立候補届けを済ませた候補者にいくつかレクチャーし、選挙ポスターを数カ所貼る程度のお手伝いですが、とても意義あるものだったと思っています。

というのも、今日応援した立候補者は、さきやま はなえさんという、これまで政治に携わったことのない新人だからです。はなえさんの政策チラシを読んでみると、旭市議会は定数20名(現在16名)の平均年齢は65歳、女性はたった一人とのこと。これでは、私たちの声が届くはずがないと立ち上がったそうです。
しかし、そんなはなえさんに対して立候補届のやり方から選挙カーの発注(そもそもどこで借りれるのか)、ポスターの貼り方などをレクチャーしてくれる人はなかなかいません。挨拶しても無視されてしまうようなこともあるそうで…

実は、政治の世界は議員本人も支援者も高齢男性というケースは珍しくありません。政治家の演説に立ち会ったことのある人は想像がつくかもしれませんが、私の肌感覚では、高齢男性5割、30代〜50代男性2割、高齢女性2割、その他が1割という顔ぶれです。私は、こうした面々を旧来型の政治クラスタと呼んでいますが、社会の構成とは全く違うことに気づくかと思います。

旧来型の政治クラスタに囲まれた候補者がどうなるかというと、男性社会に溶け込もうと過剰に気配りをしなければならなかったり、あるいは男性以上に頑張ってしまったりすることに繋がります。また、子育てが終わるまでは政治に携わるもんじゃないという古い価値観に縛られてチャレンジすらできなかったりノウハウを教えてもらうことができずに立ち往生するケースもあります。

今でこそだいぶ変わってきたとは思いますが、これは社会の縮図に思えてなりません制度上は男女差は無いように思えても、無意識下に男性優位となっていることに改めて気付かされます。

そもそも、日本では「女性活躍」という言葉が定着して久しいですが、諸外国にはそのような言葉はありません。「Woman Empowerment」(女性が自分らしく生きていくことを後押しする、勇気づける)という英語を、当時の日本の課題であった労働力不足とや女性の権利獲得と掛け合わせて、「女性活躍」という意味の異なる日本語として取り込んでしまったと思われます。
子育てや介護といった女性に偏ってきた家庭の仕事は女性に任せたままに、女性に仕事でも頑張れというのですから、無茶な話です。しかし、制度を決める政治家には男性が多いので、無茶な話をしていることにすら気づかないわけで、制度をつくったのに使わないとは女性はやる気がないのかとまで言い出す人もいるのが実情です。

また、女性自身も「仕方ない」あるいは「頑張るのが当たり前」と無意識下に受け入れてしまっている場合もあります。こうした男女の間に不均衡あるいは不公正な現実が残っている日本社会においては、男性中心の世界に女性を引っ張りあげるのではなくて、女性が自分らしく暮らしていけるように、またそれが評価されるように、男性が下支えしてスタートラインに立てるようにすることが重要であり、それが「Woman Empowerment」だと考えています。

例えば、今回都議選で当選を果たした森沢きょうこさんと私を比較すると、私は朝早い時間から駅に立ってビラ配りをすることもできますが、森沢さんはどんなに急いでも8時を過ぎますし、体力的にも毎日続けることはできませんでした。私にとって当たり前のことが森沢さんにはできない、つまり、同じ土俵に立てないわけです。そこで、私と同じようにできないなら諦めなさい、ではなく、代わりに何ができるだろうか、と思考を巡らせ、やってみることが大切なんだと思います。詳しくは森沢さんのブログをご覧ください。

この試行錯誤を繰り返した森沢きょうこさんを品川区民の皆様が評価いただき、当選させていただいたことは、これからの政治に対して非常に価値あるものだと思っています。立候補することにも高いハードルがあり、そこは私もサポートできますが、票を投じることはできません。本当の意味で「Woman Empowerment」できるのは有権者の皆さんに他ならないということです。

実は、都議会経済・港湾委員会で女性の働き方について質問をする中で、「女性活躍」と「Woman Empowerment」の違いを説明していた時に、言葉遊びするなとヤジが飛んだことがありますが、私は言葉の捉え方一つで、できあがる社会には大きな違いが生じると考えています。

これは女性に限ったことではありません。障がい者や外国籍の方、LGBTQの方々などに対しても、旧来型の日本社会に無理矢理に溶け込ませようとして、生きづらさを無視しているのではないかと自問自答をしなければならないと思います。例えば、障がいの有無に関わらず共に学ぼうというインクルーシブ教育に関して、本人や保護者の意向ではなく、学校側が(さりげなく)特別支援学校へと誘導し、別れた環境で学んでいるのが今の日本です。そうなると、一緒に学ぶ環境整備は後回しになってしまうだけでなく、障がいの無い児童はインクルーシブな環境の大切さに気付くこともなく、また障害のある児童は無意識下に現状を受け入れることに繋がっています。

なお、今日お伝えしている内容の、男性とはこれまでの社会で優位に立ってきた側という意味で考えると、男女が逆転する職種もあるかと思いますので、読み替えていただければ幸いです。

こんなことを考えながら、選挙や政治と携わっている私ですが、それを理解して感謝してくれた森沢きょうこさんには感謝です。また「まさにイノベーション」とFBにコメントを寄せていただいたことも大変嬉しい限りでした。

自分自身が立候補をしないという決断に至った理由の一つとして、自分が戦うことで起こせる変化と支えることで生み出せるインパクト(影響)のどちらが大きいかということも考え、悩みに悩みました。これからの政治に希望を生み出すことができたのであれば、これほど幸せなことはありません。これからも、事あるごとに最大の変化を生み出していけるように、力を尽くしていきます。

というわけで、旭市にお住まいの方!

いらっしゃいましたら、さきやまはなえさんへのEmpowermentよろしくお願いします

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