2021.02.28

最後の一般質問解説①~ゴールの無いマラソン状態のコロナ対策

こんにちは、

東京都議会議員(町田市選出) おくざわ高広です。

 

今日からは、2月26日に登壇した任期中最後の一般質問に関する解説を書いていきます。

まずは、新型コロナ対策について。

私からの質問は、

①感染拡大を徹底的に抑えるとはどういった状態なのか。

②生活応援事業をセーフティネットとして機能させるための工夫を。

というものでしたが、緊急事態宣言解除の目安とされてきたステージ3になっても「宣言解除の段階にない」とし、関西圏が早期に解除されることに対して「ゆるみにつながる」と牽制する一都三県の知事の姿に、では、どこまで続ければいいのかという疑問がわかずにはいられませんでした。

こちらは、東京都のモニタリング会議(2/26)で参考資料として示されたもの。すでに東京都の指標は宣言解除の目安となるステージ3と2が半々という状況ですが、宣言解除の要請は行っていない状況。

1.昨年末の新型コロナ対策

昨年11月頃からの新規陽性者数の高まりをうけ、都では22時以降の飲食店への時短要請を行い、その後も高止まりを続ける中で国からは時短を前倒してほしいと要請が出たものの、都はそれには応じないという状況が続きました。

こちらは11/28に時短要請をする直前の参考資料。今(2/26)よりも厳しい指標が出ています。

 

では、なぜ国からの厳しい対策を求める要請に応じなかったのかと言えば、都は独自のモニタリングを行っており、それを優先したということになります。


この図の右の部分が赤とオレンジになっており、最大警戒レベルではないという見解でした。

ここには、感染拡大防止と経済活動の両立を図る、つまりウィズコロナ戦略でギリギリのラインを見極めながらやっていたことが表れています。私は、緊急事態宣言の社会経済活動に与える影響の大きさから、この戦略を支持してきた立場です。

 

2.年末年始に態度が一変

しかし、年末に初めて新規陽性者数が1,000人を越えたところで都の態度が一変。国に対して緊急事態宣言発出を要請します。とはいえ、内容としては昨春よりもゆるく、なんのために宣言を出すのかと疑問に思ったくらいです。実は、発症日別の新規陽性者数をみると、年末年始にピークを迎え、宣言が出るころには下り坂になっていましたが、皆様のご協力のおかげで、新規陽性者数はさらに低下して今を迎えています。

 

そのような状況の中で、2/7での解除は難しくとも、2月末頃には解除に向けた議論がなされると思っていた矢先、突如として、都からはゼロコロナ戦略とも言える方針が示されます。感染抑制が鈍化している、つまり減り方が思ったより弱いということで、(科学的根拠は不明ですが)都立公園等の利用制限が行われ、iCDCの賀来座長からは対策の徹底を呼び掛ける緊急提言が出され、知事は「再拡大を招かぬよう徹底的に感染を抑える」と議場でも答弁しました。

一方で、緊急事態宣言解除の目安について問われると「国が判断すべき」と答弁。そもそも国と都では異なる指標を用いており、12月時点では都の指標を優先して時短は不要としながら、解除のタイミングでは都の立場を鮮明にしないというのは、あまりにも虫の良い話ではないかと思います。
また、国は数値を訂正しましたが、最も重要な指標と思われる重症者病床使用率についても見解が異なる点もやり取りをしてきましたが、「国が決めること」の一点張り。この点は、楊井人文氏の≪検証コロナ禍≫の記事にまとめられているのでご参照ください。

 

3.ゴールの無いマラソン状態

では、東京都の新型コロナ対策はどこを目指して取り組んでいるのでしょうか。その答えは、

「今大事なのは、感染の再拡大を招かぬよう、新規陽性者数をしっかりと下げ、感染を徹底席に抑え込むこと。」

ということでした。

(百歩譲って)徹底的に抑えるのであれば、より効果的な対策とより強力なセーフティネットを講じるのであれば理解できます。

しかし、セーフティネットとして計上された125億円の生活応援事業への答弁は、

「本事業の目的は、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレス決済によるポイント還元などの取組を行う区市町村を支援するもの」

つまり、セーフティネットとして機能させる工夫すらしないということ。

こうした状況を全部整理して見えてきたのは、

✔都はいつのまにかゼロコロナ戦略に向かっている

✔しかし、それは都庁内でも共有されておらず、対策や支援策はウィズコロナ戦略の延長にある

✔結果的にセーフティネット予算が弱い

✔にも関わらず、緊急事態宣言の解除などの判断は国に丸投げ

ということです。

イメージ図。途中から戦略が急激に変わったため、都庁内でも共有が図れていないと推測される。

ゴールの無い(ゴールが遠ざかる)マラソンを走ることはできません

都がまずすべきは、ゴール(見るべき指標や目安)を示して、そこに辿り着くまでの道筋(効果的な対策)やサポートプラン(給付金など)をパッケージで示すことです。これは、国の戦略とは違うので、費用負担や丁寧な説明含めて、都が責任をもって果たしていかなければなりません。

また、一都三県で国と交渉、調整を行わなければ、また国が悪い、都が悪いというやり取りになることも予見されます。私は、それが一番見たくないし、都民の皆様の協力を得るためにも見せてはいけない姿だと思っています。

一般質問そのものは残念すぎる内容でしたが、ここが議論の出発点。引き続き、検証と提案を重ねていきます。

ちなみに、今日のサンデーみらいTVでは解説に力が入りすぎて、60分の拡大版に。

41分頃から新型コロナ対策について話しています。

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