こんにちは、
東京都議会議員(町田市選出) おくざわ高広です。
○1/27(日)~28(日)にかけて、大阪へ視察に行ってきました。交通費と宿泊費については政務活動費を充当させていただきましたので、今後の政策提言に活かしていくのは当然ながら、より多くの皆様に視察レポートを読んでいただき、お役に立てればと思っています。
○本日お伝えするのは、大阪市立西淡路小学校で行われている朝食提供事業「朝ごはんやさん」です。
概要は以下の通りですが、事業開始までの詳しい経緯などはこちらの記事(2018/4/25 Yahooニュース 湯浅誠氏)をご覧ください。
・文部科学省の調査で、朝食を食べない小学生の存在と学力との相関が指摘。
・朝食を摂ることの大切さ、規則正しい生活習慣の定着、学力・体力の向上一助となることを目的として、地域活動協議会活動費補助金事業として2016年11月より開始。
・大阪市立西淡路小学校の家庭科室を使い、週3回1食50円で朝食を提供。
※必要経費は1食200円であるが、75%(150円)は大阪市より補助。
・無償ボランティア11名の協力のもと、食材の買い出し、調理、提供、後片付けを行っている。
・一日平均37.4人が参加し、参加経験のある生徒は西淡路小学校の生徒総数の21.4%の87名。
○上述の文部科学省の調査、朝食の摂取と学力、朝食の摂取と体力の相関を図で表したものがこちらです。
○朝食を食べれば、学力や体力が上がるという意味ではありませんが、朝食を摂らない人ほど学力や体力が上がりにくいということは言えそうです。同じ調査では、就寝時間・起床時間と学力の相関についても調査しており、就寝時間や起床時間の不安定な子ほど学力が上がりにくいということも確かでしょう。
○生活習慣、とりわけ朝食を摂る習慣をつくることは、起床時間(と就寝時間)を安定させ、生徒の集中力を高め、学力や体力の向上に繋がると分かっていながら、啓発を進めるだけであったのがこれまでの取組でした。ここに一石を投じたのが、「朝ごはんやさん」というわけです。
○「朝ごはんやさん」に生徒が集まる理由は様々です。経済的な貧困や児童虐待のひとつである育児放棄(ネグレクト)の疑いのある場合もあれば、一人親で夜勤や早番の仕事をしている方が心身の負担を軽減できる場合もあります。一人っ子だからさみしいので、友達とご飯を食べたいという生徒もいました。どんな生徒も、「朝ごはんやさん」で英気を養い、元気な声で「いってきます!」と教室へと向かっていきました。
○中でも印象的だったことがあります。8時30分から全員朝会があり、8時50分から授業が開始だったのですが、9時前に「朝ごはんやさん」を開いている家庭科室の電話が鳴りました。とあるクラスの先生からの電話で「一人遅れてきて、朝ごはんを食べていないようなのですが、今から食べに行かせていいですか?」というものでした。現場の先生も朝ごはんの大切さを分かっていて、たとえ15分授業に遅れても、朝ごはんを食べてきなさいと言える環境ができていました。さらに、生徒さんを迎え、髪をくしでといてあげながら優しく声をかける「朝ごはんやさん」の姿をみて、社会全体で子どもを育てていくという意味が分かりました。ご飯をおかわりして、一息ついてから教室に戻っていく生徒の背中を見ながら、じんとくるものがありました。
○一方で、この事業はいつまで続けることができるのだろうかと不安も覚えました。現在は、必要経費の75%について大阪市から補助を受けているとのことですが、人件費は0円、無償ボランティアのご協力で支えられています。できることなら、給食同様に一定の公費を投入しながら継続できる環境を整備できないかと思うところです。学力や体力の向上だけでなく、授業の中では気づきにくい生徒の変化を早期に発見すること、家庭と学校以外の人との繋がりをつくることが期待されます。経済的、精神的な貧困の連鎖を断ち切り、20年後の社会をより豊かにする具体策として、この小さな一歩が東京都にも広がるように、政策提言を行っていく所存です。
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