2018.07.05

20180620一般質問解説④~ひきこもりの若者の社会復帰支援~

こんにちは、
東京都議会議員(町田市選出) おくざわ高広です。

○早速ですが、議員の仕事というのは、3つに大別され、
1.課題の発見
2.行政の取組の確認
3.解決策の提案・実行
2→3の間で様々な方向に枝分かれしていきます。

○例えば、
・行政が課題を把握していなかったケース
☞予算の問題などをクリアできれば、割とすぐに行動してくれる。
・行政が課題を把握していながら、解決に乗り出していなかったケース
☞何かしらの「しがらみ」が存在することが多く、視点を変えた解決策が必要。
・行政が課題を把握し、解決を図っているのだが、効果が不十分なケース
☞何がボトルネックになっているのか調査し、解決策を提案。
・行政が課題を把握し、以前は解決できていたものの、時代とともに、解決が図られなくなったケース
☞法律や制度そのものを変えることが必要。
などなどです。

○今回質問した「ひきこもりの若者の社会復帰支援」は、
1.行政が課題を把握し、
2.一旦は解決策を提示したものの、うまくいかず、
3.ひきこもりの根本的な原因・社会的な捉え方が変化し、
4.新たな解決策が必要となっている
という状況です。

(課題把握→解決策の提示)
○「ひきこもり」というフレーズが都議会で取り上げられたのは、2006年頃と記憶していますが、当時の石原知事の言動を見ますと、「若年無業者(ニート)はごくつぶし」と発言するなど、若者が抱える様々な悩みは個人の問題であり、矯正や更生によって解決すべきと捉えていたように思います。担当が、青少年治安対策本部という、警察との密な連携を行う部門が所管していることからも、当時の石原都知事の考えが透けて見えます。

(社会の捉え方の変化)
○当時の調査では、都内にひきこもりの若者(15~34歳)は2万5千人ほどと推計されており、この数値をベースに今も支援策が行われています。お気づきの方もおられるかもしれませんが、この調査の問題点は、年齢が限定されている事であり、36歳を超えた方については、社会復帰支援ではなく、生活保護等の福祉の対象となっているようです。先日参加したセミナーにおいては、「ひきこもりはいつ起こるのかは分からないことで、また誰にでも起こり得ることであり、また、36歳以上でも社会復帰は果たせる」旨のお話がありました。また、ひきこもりの「8050問題」※が顕在化してきた現実も踏まえ、本年度、内閣府による長期化・高齢化の実態調査が行われる予定です。

※NHKクローズアップ現代が8050問題について取り上げておりますので、ご参考まで。

こちら

(新たな解決策)
○最後に、どのような解決策が図られるべきか、という点についてです。

○実は、平成29年2月~平成30年7月にかけて、東京都青少年問題協議会・若者支援部会において、「ひきこもり、ニート、非行等の社会的自立に困難を有する若者に対する相談支援における課題と対応について」審議されてきました。青少年問題協議会とは、知事の諮問を受けて、有識者が議論し、解決に向けての提言を行うような機関です。最近では、児童ポルノから青少年をどう守るかという答申が出され、自画撮り被害を防ぐために青少年健全育成条例が改正されました。※残念ながら、私は委員ではありません。

 

(青少年問題協議会の様子)

児童ポルノ等被害が深刻化する中での青少年の健全育成について(答申)はこちら

○先述の「ひきこもり、ニート、非行等の社会的自立に困難を有する若者に対する相談支援における課題と対応について」の答申も間もなくのようです。
議事録はこちら

○社会的自立に困難を有する若者や家族が状況に応じて必要な相談支援を受けることができない要因について、
支援を受けた方が望ましい状況にあるが、その必要性を認識していない段階
支援の必要性は認識しているが、相談先を見つけることができない段階
支援機関に相談したが、適切な支援につながらない段階
と3段階に考えている点や

・サポーター意識の醸成
・SNSの活用
・ハブ機能をもった窓口の設置
・代弁機能やコーディネーター機能を有する人材育成
などの解決策を提案している点では、概ね私の考えと一致しており、安心しました。

○しかし、青少年問題協議会委員の内山都議が「相談窓口(若ナビα)が相談しやすい体制になっていない」と指摘しているように、従来の延長線上では根本的な解決を図ることが難しいのではないかとも考えています。いずれにせよ、これまでの施策を方向転換するタイミングがきていることは間違いないので、いかに効果的な政策提言できるかが腕の見せ所と言えそうです。引き続き、現場の声をベースに、政策提言を続けてまいりますので、ご意見やご提言がございましたら、お気軽にご連絡ください。

MAIL: team0938@okuzawa-takahiro.com

(青少年問題協議会で発言する内山都議)

○そんなわけで、今日は都政報告を配布しながら、地域の声を聴いてきます。とにかく「聴く」こと。いってきます。

一般質問の動画はこちら

【質疑骨子】
○ひきこもりの若者の社会復帰支援について、都の主催するセミナーに参加してきました。
○都庁大ホールは満席で、根が深く、喫緊の課題であると改めて実感したところです。
○セミナーでは、「ひきこもりは年齢によらず、いつでも起こり得ること」であり、「ある程度の社会経験がある方が、少しのきっかけで立ち直りやすい」というお話がありました。
○また、「80代の親と、ひきこもる子ども」が経済的にも精神的にも追い詰められていく「8050問題」も顕在化しています。
○現在、東京都では、青少年治安対策本部が中心となって、主に若者を対象に支援を行っていますが、年齢で分けられる性質の問題ではなく、組織横断での体制整備が必要であると一言申し上げておきます。
○さて、町田市では、2015年にひきこもり当事者への丁寧なヒアリングを実施しました。
○ひきこもり当事者やご家族は、どこに相談していいのか分からず、良かれと思った行動が、状態を悪化させてしまったケースも見られ、第三者の存在が社会復帰のカギになっています。
Q.ひきこもりの若者の社会復帰支援には、福祉、医療、教育、就労、居場所づくりなどのネットワーク化とともに、気軽に相談でき、適切な支援へと繋ぐコーディネーター的な役割を育成することが重要と考えますが、都の取組を伺います。(青少年治安対策本部長)

【答弁骨子(青少年治安対策本部長)】.
・ひきこもりの若者の社会復帰支援に向けては、早期に支援につなげ、その長期化を未然に防ぐことが重要。
・都では、「ひきこもりサポートネット」において、電話やメールによる相談のほか、区市町村と協働して訪問相談を実施し、臨床心理士等の相談員が、ひきこもりの若者や家族の状況を十分に把握し、地域のNPO法人等の支援機関につないでいる。
・その際には、区市町村の関係部署をはじめ、福祉、保健・医療、雇用等の様々な分野の関係機関と連携して対応。
・今後も、ひきこもりの若者の社会的自立に向けて、関係各局や区市町村、民間支援団体等との連携をさらに推進、若者への支援を充実。

 

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