2021.03.02

都議会経済・港湾委員会にて「時短協力金」と「家賃給付金」について論戦!

こんにちは、

東京都議会議員(町田市選出)

無所属 東京みらい おくざわ高広です。

 

一昨日、経済・港湾委員会にて「時短協力金」と「家賃給付金」に関する補正予算の議論が行われました。

時短協力金については、11/28~ 12/17~ 1/7~の3回分について、不足したため追加で計上するもの

家賃給付金については、国に上乗せする内容ですが、想定より申請が少なく減額するもの

となっています。

 

私の質疑では、時短協力金が追加計上される経緯などを整理してお話ししましたが、そのプロセスからも反対しにくい予算となっており、大変悩みましたが、今後の取組は一から見直すよう厳しく指摘して、賛成の意向を示しました。

全文は以下の通りです。少し長いですが、ご覧ください。都庁側もなかなか改善策を答えられる立場ではないと思いますが、こうして伝えていくことを続けていきたいと思います。

各党の考え方については、録画映像をご覧ください。

以下、全文(ただし他会派と重複した質疑は割愛)~

令和二年度最終補正予算では、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金として、854億円が追加計上されています。これは、11/28~12/17、12/18~1/7、1/8~2/7と3回にわたる要請について計上されているものですが、それぞれに要件や支給額が変化していったことを押さえておく必要があります。

まず、11/28~12/17ですが、対象は「(島しょ地域を除く)酒類の提供を行う飲食店及びカラオケ店」で、要請は「営業時間の短縮(22時~翌5時)」で、協力金は「事業者ごとに一律40万円(1日あたり2万円)」、計上された予算は「200億円」で、11/26に専決処分、12/16に議会で承認。

次に、12/18~1/7ですが、対象と要請内容は変わらず、協力金は「事業者ごとに一律84万円(1日あたり4万円)」、計上された予算は「470億円」でしたが、当初1/11までの分で「一律100万円」で計上されていたため、実質は「約400億円」と考えられます。

最後に、1/8~2/7ですが、対象は「(島しょ地域も含め)飲食店や飲食店営業許可を受けている遊興施設」に拡大し、要請は「営業時間の短縮(20時~翌5時)」となり、協力金は「店舗ごとに一律186万円(1日あたり6万円)」、計上された予算は「1528億円」で、1/7に専決処分が行われ、議会の承認はまだ行われていません。加えて、1/22~は大企業が対象に追加されるとともに、1/22からの協力に応じる店舗も含まれるといった措置が行われました。

また、今回の補正予算ではありませんが、2/8~3/7についても1/22以降と同様の対応が行われており、「2076億円」が計上され、2/6に専決処分が行われ、議会での承認は行われていない状況です。

この間の予算計上のあり方や意思決定プロセスについては、あまりにもイレギュラーな対応であり、このまま放置するわけにはいかないというのが率直な気持ちです。そこでいくつか質問していきます。

Q1.今回計上された854億円について、現時点での執行状況をふまえ、とのことですが、それぞれの期間において予算計上時点で想定していた事業所数、店舗数を伺います。

A1.
・予算においては、『令和2年11月28日から12月17日までの時短要請に係る協力金』及び『令和2年12月18日から令和3年1月7日までの時短要請に係る協力金』は、それぞれ4万5千事業者、さらに『令和3年1月8日から2月7日までの時短要請に係る協力金』は8万店舗としていた。

Q2.では、それぞれの期間の執行状況について教えてください。

A2.
・『令和2年11月28日から12月17日までの時短要請に係る協力金』は約5万7千件、『令和2年12月18日から令和3年1月7日までの時短要請に係る協力金』は、2月22日時点で約5万4千件とそれぞれ想定を上回る申請をいただいている。
・『令和3年1月8日から2月7日までの時短要請に係る協力金』については、2月22日に申請受付を開始したところ、同日時点で約4千事業者から約4千7百店舗分の申請をいただいた。

今回の補正予算では、11/28~では1万2千件、金額にすると48億円、12/17~では(他会派の質疑で明らかになりましたが)約200億円、1/8~の分で約600億円の追加計上になるということです。

Q3.これまでにも昨年の4月~5月、8月と要請を行っており、その際には予算内におさまっていた、つまり想定と申請がある程度合致していたということかと思いますが、なぜ今回は想定と申請が合致しない、つまり不足する事態が生じているのか伺います。

A3.
・『令和2年11月28日から12月17日までの時短要請に係る協力金』及び『令和2年12月18日から令和3年1月7日までの時短要請に係る協力金』については、『8月の時短要請に係る協力金』の支給実績に基づいて計上していたところであるが、職員による見回りの効果などもあり、これまで以上に多くの飲食事業者の方々からご協力をいただけたものと認識
・また、新たに協力いただいた方の一部にその理由をお伺いした中では、感染者数が高まっているために協力したなどといった声をいただいている。

協力いただける店舗が増えていること自体を問題視するわけではないのですが、職員による見回りは、確かステッカー掲示店が感染防止対策を行っているのかどうかを確認するもので、当初は時短要請の見回りではなかったと認識しています。大変残念な話ではありますが、店舗をしめたふりをしながら不正受給している店舗が増えているとの情報もあります。すでに協力金を支給した後だとは思いますが、申請店舗が増えた理由や不正がなかったかどうかは、今からでも精査する必要があると考えます。
Q4.そこで、不正受給対策については、どのように取り組んでいるのか確認します。

A4.
・申請の受け付け後にその内容について不明な部分や疑問がある場合、職員による現地確認や電話でのヒアリング、文書による問い合わせなどにより、受給要件を満たしているか否かを確認し、適正な支給に努めている。
・支給後においても、不適切な事例が明らかになった際には、申請時に提出のあった誓約書に基づき、違約金の請求を行うなど厳正に対処することとしている。

厳正な対処、しっかりとしていただくよう求めておきます。

金額の妥当性についても疑問の声が出ています。金額を上げたことで11月から12月に協力店が大幅に増えたということであれば別ですが、そうとも思えない状況です。現在の2万円、4万円、6万円と上げた金額が果たして妥当だったのかという検証もせざるを得ません。
Q5.そこで、2万円、4万円、6万円と金額をあげていますが、その根拠を伺います。

A5.
・感染状況や国の交付金を最大限活用するとの考えに則り、それぞれの要請期間について、都度、支給金額を定めてきた。

つまり、実際に必要とする金額を見積もったのではなく、国の方針に従ったということかと思います。確かに、これまで国は上限を6万円とし、それより低い金額で設定が可能だったと思います。その際、協力金の趣旨から一律での対応とするよう求めていたものと認識しています。一方で、ここまで金額を引き上げてくると、一律という考え方が不公平だという指摘が相次いでいます。
Q6.協力金を一律で支給する理由を伺います。あわせて、売上あるいは家賃をベースに考えるということもあると思いますが、事業規模に応じた支給とする上での課題を伺います。

A6.
・協力金は、減少した売上を補てんする営業補償とは異なり、要請の実効性を確保するために支給するもの。
・仮に事業規模に応じた支給へと変更する場合、売上高のほか、店舗面積や従業員数など様々な指標が考えられ、この基準が自治体間で異なれば新たな不公平感が生じかねないと考えている。
・こうしたことから、事業規模に応じた制度構築は国において行うべきものと考えている。

国が考えるべきものだといいますが、国が決めることで実態に応じた支援とならないことは明らかです。家賃一つとっても、東京と全国の平均をとれば東京には不足となり、東京に合わせれば全国には余る状況になります。また、都内でも家賃が一月1千万円というところもあれば、同じ広さで10万円にも満たないところまで様々です。こうした状況を踏まえれば、より実態に近い状況を知る都道府県が主体的に考えなければいけないことだと思います。報道では、国は一律の考えを改めたとのことで、大阪では家賃に応じた段階的な協力金に変更するようです。都においては、その家賃の幅が大きいことから、より実態に即した支援とするよう求めるものです。

続いて、対象が変更となったことについて聞いていきます。
Q7.1/8~事業者ごとではなく店舗ごとの対応になった理由を伺います。

A7.
・今般の緊急事態措置においては、人流の抑制を徹底することが重要であることから、これまでの協力金では支給を事業者単位で行っていたところ、より実効性を高めるため、店舗単位と対象を拡げることとした。

都内の飲食店は、単一店舗を経営する事業主が94.7%ですが、それは店舗数で見ると51.3%にすぎず、従業員数でみると17%にすぎません。つまり複数店舗を経営する事業主の協力を得つつ、店舗や従業員を守らなければ都内の雇用は守られないということを意味しています。そのような意味で、店舗ごとの支給としたことは評価するものです。

Q8.同様に、1/22~大企業を対象に加え、あわせて、途中から協力する店舗も対象にしましたが、その理由を伺います。

A8.
・緊急事態宣言の発令以降、多くの店舗が営業時間の短縮に応じていただいていた一方で、大企業を含め協力いただいていない店舗も存在していた。
・感染拡大を防止するため、人流の抑制に向けてより一層の取組強化が必要であったことから、大企業も含め1月22日からご協力をいただいた店舗についても、協力金の支給対象とすることとした。

Q9.協力いただけていない店舗があったということで対象に加えたとのことですが、大企業を含めることで想定される店舗数はどれほど増える見込みだったのか伺います。

A9.
・国の統計数値等を参考として、7,000件と見込んでいた。

今の答えを受けて、最後に、意思決定プロセスについて質問します。
これは、あまり言いたくない話ではあるのですが、1/22の大企業が対象となる際に、都議会本部会議では予算が不足するのではないかという意見が相次ぎました。非公式ではありますが、財務局長はこれまでの執行残で対応可能である旨をお答えになっていました。現在起きていることは、それが誤りだったと考えられます。
Q10.そこで、協力金を所管する産業労働局としては、今になって追加補正予算をあげることになったことについて、どのように考えているのか伺います。

A10.
・『令和3年1月8日から2月7日までの時短要請に係る協力金』に関して大企業を支給対象に含めたことにより必要となる経費については、緊急事態宣言の発令に伴い、『令和2年12月18日から令和3年1月7日までの時短要請に係る協力金』の対象期間が、4日間短くなったことにより、支給金額の見直しを行い、生じた不用額を充当することで、対応することとしていた。
・今回、『令和2年11月28日から12月17日までの時短要請に係る協力金』の申請実績及び『令和2年12月18日から令和3年1月7日までの時短要請に係る協力金』の申請状況から、追加の経費が必要であることが明らかとなり対応したところ。

大企業を加えることで7,000店舗増える、およそ100億円ですから、確かに執行残で対応できると考えられます。しかし、11月からの時短要請については見回りなどをしながら協力店舗が増えていることは総務局を中心にとらえることができていたはずです。状況が変わるたびに、丁寧に進めなければならないと改めて私は感じているところです。こうした社会状況の変化に敏感に反応していかないと、刻一刻と変わる状況についていけない、対策を見誤ることにつながりかねないと危惧するものです。

そのような意味で、議論の場を設けることなく補正予算が執行されている現状にも問題提起をしておかなければなりません。緊急事態宣言による対策について、都では1/6に協力金に関する予算が専決処分されていますが、神奈川、千葉、埼玉においては臨時議会を招集するなどして、議会での質疑と決定を行っています。東京都だけが議会の審議を経ずに予算執行していますが、結果として、その後大企業を加えるなどの対応に迫られ、社会に混乱を招いたのも事実です。今日質疑させていただいていることも、本来であれば1/6時点で議論しておくべきものです。
また、今回追加される予算について、11/28~12/17、12/18~1/7分はすでに議会で決定したものである一方で、1/8~2/7、もっといえば1/22以降の部分については、いまだ元の予算を承認していないという状況であり、これらが混在しているという点一つとってみても、都庁組織に混乱が生じているのではないかと危惧するものです。
Q11.今回のような状況を、産業労働局としてどのように捉えているのか伺います。

A11.
・協力金に係る予算については、統計データや支給実績等を踏まえて、必要な経費を計上し、執行してきた。
・実際に予算を執行していく中で、想定と異なった場合には、必要な金額を適切に措置することとしている。

産業労働局が、目の前にある業務に精一杯取り組んでいることは理解しますし、そのご尽力には敬意を表するものです。しかし、思考を止めるなと改めてお伝えします。東京都の飲食サービスの市場規模は年間で約3兆円、月に換算すると2500億円程度となります。2月の協力金は総額で2000億円ですが、売上補償をしても2000億円には達しないのではないかと考えます。国の交付金とはいえ、現在と将来にわたる都民の税負担から成り立つものです。協力金の趣旨を優先した結果、過大な予算計上、税の不公平な配分となることがないよう、今後の施策において見直しを図るよう求め、質問を終わります。

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