2021.03.23

速報!「東京都こども基本条例」涙の可決!

おはようございます。

東京都議会議員(町田市選出)

無所属 東京みらい おくざわ高広です。

 

さて、都議会で大変な騒動となっておりました「東京都こども基本条例」について、

先ほど朝4時過ぎに、全会派の賛成をもって可決いたしました!

昨日、本件について経過を明らかにするとともに、もう一度同じテーブルで話をしたいという内容の投稿をしましたが、結果として、それが叶ったことは大変うれしいものです。

この実現には、都議会公明党のまつば多美子議員の執念ともいえる多大なるご尽力があったことに、心からの敬意と感謝を申し上げるものです。

 

この間の経緯をお示しすると、

2/17 議会運営委員会に「東京都こども基本条例(原案)」が上程

3/15 厚生委員会にて質疑

3/18 12:30 厚生委員会に都民ファ・共産にて「修正案」を上程

(重大な問題を発見)

3/19 23:20 公明・自民・みらい「真・修正案」が完成

3/22 21:45 公明・自民・みらいにて「真・修正案」を上程

3/22 26:30 都民ファ・共産「修正案」を取り下げ、「真・修正案」に共同提案

3/22 27:30 各会派の意見表明の後に、28:10 「真・修正案」が全会派の賛成をもって可決

 

こんな深夜に何をやっているのかとお叱りを受けるかとは思いますが、職員の皆様をはじめ数多くの関係者に多大なるご迷惑をおかけしたことには大変申し訳なく、にも関わらずご協力いただきましたことに感謝しかありません。​

 

さて、では、公明・自民・みらいで上程した「真・修正案」とはいかなるものかというと、以下の通りです。

赤字が修正、削除、追加部分。

東京都こども基本条例(案)

(前文)

東京が持続可能な発展を続けていく原動力は、時代を切りひらく「人」であり、今と未来を担うこどもは、人が輝く東京の活力の源泉である。

こどもは、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である。

社会の宝であるこどもは、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある。

こどもの権利条約(児童の権利に関する条約をいう。以下同じ。)では、こどもに対するあらゆる差別の禁止、こどもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重を一般原則としている。

全てのこどもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならない。

「こどもを大切にする」視点から、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもの目線に立った政策を推進していくことは、様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命である。

また、新型コロナウイルス感染症は人々の生活に大きな変化をもたらし、とりわけこどもへの影響は顕著である。いかなる状況下においても、こどもの幸福を追求していくことが何より重要であり、東京都がなすべき責務を明らかにしなければならない。

こうした認識の下、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定め、こどもの健やかな成長に寄与することを目指し、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都(以下「都」という。)が取り組むべき施策の基本となる事項を定めることにより、こどもの健やかな成長に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「こども」とは、十八歳に満たない者をいう。なお、こどもに関する施策の実施に当たっては、次条の基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとする。

(基本理念)

第三条 こどもは大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であるとの認識の下、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもを権利の主体として最大限に尊重し、こどもの最善の利益を最優先とすることで、全てのこどもが、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体でこどもを育む環境を整備していかなければならない。

(こどもの権利)

第四条 都は、こども権利条約を踏まえ、子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした、こどもの権利を尊重し、擁護するための施策を推進するものとする。 

(こどもにやさしい東京の実現)

条 都は、社会全体でこどもを育み、こどもにやさしい東京を実現するため、こどもの目線に立った施策を率先して推進するものとする。

(こどもの安全安心の確保)

条 都は、こどもを犯罪、事故その他の危害から守るため、こどもの安全と安心の確保に必要な施策を推進するものとする。

(こどもの遊び場、居場所づくり)

条 都は、こどもが伸び伸びと健やかに育つことができるよう、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)と連携して、こどもが過ごしやすい遊び場や居場所づくりなど、環境の整備を図るものとする。

(こどもの学び、成長への支援)

条 都は、こどもの学ぶ意欲や学ぶ権利を尊重し、こどもの可能性を最大限に伸ばすことができるよう、一人一人の個性に着目し、自立性や主体性を育むために必要な環境の整備を図るとともに、こどもに寄り添ったきめ細かな支援に取り組むものとする。

(子育て家庭、こどもに寄り添った多面的支援)

条 都は、様々な不安や悩みに直面する子育て家庭を支援するため、特別な支援や配慮を要するこども及び社会的養育を必要とするこどもへの施策をはじめ、多様な子育てと働き方のための環境の整備、専門的な相談、情報提供その他の状況に応じた適切な取組等、多面的な支援に努めるものとする。

(こどもの意見表明と施策への反映)

条 都は、こどもを権利の主体として最大限に尊重し、こどもが社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図るものとする。

(こどもの参加の促進)

第十条 都は、こどもが社会の一員として尊重され、年齢及び一人一人の発達段階に応じ、学校や地域社会等に参加することができるよう、環境の整備を図るものとする。

(こどもの権利の広報・啓発)

第十条 都は、こどもの権利及び利益の尊重に関する広報その他の啓発を推進するものとする。

(こどもからの相談への対応)

第十条 都は、こどもの不安や悩みを解消できるよう、こどもからの相談に対応する体制の充実並びに家庭、学校、地域社会及び関係機関等との連携強化に努めるものとする。

(こどもの権利擁護)

第十条 都は、こどもの健やかな成長を支援するため、権利侵害その他の不利益を受けた場合等において、専門的知見に基づいて適切かつ迅速にこどもの救済を図ることができるよう、国、区市町村その他の関係機関と連携し、社会状況の変化に応じ、こどもの権利及び利益を擁護するための体制の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。

(こどもに関する計画の策定)

第十条 都は、こどもに関する計画を策定するに当たっては、第三条の基本理念にのっとるものとする。

(こども施策を総合的に推進する体制の整備)

第十条 都は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。

(財政上の措置)

第十条 都は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

附 則

(施行期日)

 この条例は、令和三年四月一日から施行する。

2 この条例の施行後三年を経過した場合において、この条例の施行の状況及びこどもを取り巻く状況等について検討し、時代の要請に適合するものとするために必要な措置を講ずるものとする。

3 前項の検討を行うに当たっては、こどもの意見を反映させるため、こどもの意見を聴く機会を設けるものとする。

(提案理由)

こどもの権利条約の精神にのっとり、全てのこどもたちが今と未来への希望を持って伸び伸びと育っていけるよう、社会全体でこどもを育むため、規定を整備する必要がある。

 

では、私たちがどの点について見過ごせない部分だと感じていたのかというと、

まず、こどもの権利について、原案では、その前文において

「こどもの権利条約では、こどもに対するあらゆる差別の禁止、こどもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重を一般原則としている。(中略)こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもの目線に立った政策を推進していくことは、様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命である。」

と明記し、当然に条例全般に行き渡るものと理解していました。

一方で、都民ファ・共産「修正案」では、別に項目立てを行い、

第四条 都は、こどもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利を保障し、擁護するための施策を推進するものとする。

としましたが、こどもの権利をユニセフ等が啓発に用いている4つの権利に限定してしまっており、その他の権利がもれてしまう可能性や第八条の学ぶ権利等との不整合が懸念されました。

そこで、公明・自民・みらい「真・修正案」では、

第四条 都は、こども権利条約を踏まえ、子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした、こどもの権利を尊重し、擁護するための施策を推進するものとする。

とし、あらゆる権利が対象になる形にしました。こうした内容をみて、都民ファ・共産「修正案」をベースにしたとする意見もあるようですが、そもそも包括されている内容を項目立てした結果、漏れ落ちるというのはあってはならないことです。この項目にこだわっていた都民ファにも賛同いただける内容にするために、どれだけの時間を費やしたのか、分かる人には分かると思います。昼夜を問わず、ご尽力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。

 

次に私たちが問題だと考えたのは、第十条(こどもの意見表明と施策への反映)、第十一条(こどもの参加の促進)において、「必要な措置を講じる」とした部分です。

都ファ・共産「修正案」では、

第十条  都は、こどもを権利の主体として尊重し、こどもが社会の一員として意見を表明する権利が保障され、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

第十一条  都は、こどもが社会の一員として尊重され、年齢及び一人一人の発達段階に応じ、学校や地域社会等に参加することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

何が問題なのだろうかと考えた人もいると思いますが、「必要な措置を講じる」ことが都の責務として規定されることになります。そうなると、例えば第十条をとってみると、都政のあらゆる場面において、例えば、都が道をつくったり、コロナ対策をしたりする場合にも、こどもの意見表明の場を用意し、かつ、その意見を適切に施策に反映させなければならないと読み取ることができます。

これについては、当然の権利だとする意見もありますが、私は、こどもは権利の主体であると同時に、守られるべき存在であり、将来にわたって過度な責任を負わせてはならないと考えています。そうした考えから、公明・自民・みらい「真・修正案」では、原案の「環境の整備を図る」を踏襲する形になっています。

 

では、なぜこうした問題が残る「修正案」が出てきたのかと振り返ると、議員提出条例を提出する際に、実効性を担保するために行うべきとされている、執行機関つまり都庁関係部署との充分な意見交換が図られなかったことが原因であると分析しています。

より良い内容の条例をつくりたいのであれば、もっと早い段階で協議を行う機会があったはずなのにそれを行わなかった、また「修正案」の提出にあたって執行機関との充分な意見交換を行わなかった第一会派の姿勢に対する疑念は払しょくされていません。

また、真摯に政策協議を行ってきた公明・自民・みらいの三会派に対して、あたかも政局優先であるかのようなレッテル貼りや誹謗中傷にも似た発信を繰り返していたことは、議会運営を混乱させたという意味でも、大変遺憾であり、事実に基づくしかるべき対応を求めたいと思います。

とはいえ、今回、結果的には、「真・修正案」に公明・自民・みらい・共産・都民ファの5会派が共同提案となり、全会一致の賛成となったことはうれしい限りです。これを機に、こどもの権利が尊重され、こどもを第一に考える東京都になるよう、より一層取り組んでいく決意です。

 

疲労困憊の中、最初から最後まで一貫して「全会派・全都庁での賛成」を求め、条例案の中身を検討してきた森沢きょうこ議員の想いを込めた意見表明について、お読みいただけましたら幸いです。

なお、都民ファーストの会提出の新型コロナ条例改正案についても、以下の理由により反対をいたしましたことも併せてお伝えいたします。

まず始めに、この間、都職員を始めとする関係者のみなさまには多大なご苦労とご迷惑をおかけしたことに対し、委員の一人として大変申し訳なく思います。ご協力いただき、心から感謝申し上げます。

議員提出議案第三号「東京都こども基本条例」について申し上げます。私たちは、原案の趣旨である「こどもの権利条約の精神にのっとり、社会の宝であるこどもを第一に、こどもの目線に立った政策を推進していく東京の未来像」に賛同し、またその提出に至る経緯における並々ならぬご努力とその想いに感服し、共同提案者となりました。当初から、こどもを第一にする社会へと歩みを進めるにはこれ以上下がらないというベースラインを引く必要があるため、また、子どもに関わる施策について横断的に総合的に取り組む都庁とするためにも、「全会派のみならず全都庁が一致して賛同できる内容」とすることが最も重要だと考え、一貫して取り組んできました。

しかし、都民ファーストの会と共産党により共同提出された修正案については、その内容について、第四条において子どもの権利が限定されていること、第十条、十一条において、子どもが東京都のあらゆる事業に対して意見を述べ、また、都もそれに必要な措置を講じなければならない懸念があることについては見過ごせないものでした。私たちは、子どもが権利の主体であると同時に、保護される対象であり、将来への責任を過大に背負うべきではないと考えるからです。そのような観点から、正式に上程された3月18日昼の理事会以降、2日にも満たない時間で、都議会公明党を中心に有識者や都庁関係部署との充分な意見交換を重ね、本日提出した「修正案」について都議会公明党、都議会自民党、東京みらいの3会派で合意するに至りました。

この間、「より良い条例にしたい、政争の具にしてはいけない」という一心で、その中心となってご尽力をいただいた都議会公明党のまつば多美子議員が、どれだけの苦悩を重ね、5会派共同提案の状況にたどり着いたか、と思うと、尊敬の念に堪えません。この場を借りて、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

一方で、このように「より良い条例に」と検討に時間を要しているのにも関わらず、一方的に「政局」と決めつけた発信や誹謗中傷がSNS等で繰り返されたことは、大変遺憾です。事実に基づいたしかるべき対応を求めるものです。

また、本条例の原案を2/17に正式に上程するにあたっては、都議会公明党が素案を作成し、1月上旬から第一会派の都民ファーストの会、第二会派の都議会自民党と協議を開始したと聞いています。私たちにも、そのような機会があれば、より早期に提案と積極的に重ねたものですが、より良いものをつくるということであれば、なぜその間に協議を行わなかったのか、一連の行動には様々な疑問が残ります。都議会第一会派としての責任ある行動をとっていただきたく、改めて求めるものです。

 

次に、議員提出議案第五号「東京都新型コロナウイルス感染症対策条例改正案の一部を改正する条例」について意見を申し上げます。
はじめに、本改正案によって削除される第五条3項に関して、私たちは「都は、新型コロナウイルス感染症の発生状況等を踏まえ、患者等が療養に専念することができるよう、施設の確保等環境の整備に努めるものとする。」という本項を根拠に、宿泊療養や自宅療養等に関わる施策の強化を求めてまいりました。この条項が削除されていることについて質問したところ、「全く同じ条文を五条の二の一項に移した」との答弁がありました。しかし、改正案における第五条の二の一項とは「宿泊療養施設の確保に努めるものとする」というものであり、「全く同じ条文」ではありません。こうした事実と異なる答弁がなされたことは大変遺憾です。

次に、現行条例では「施設の確保等環境の整備」として幅広く療養体制を捉えていたところを、宿泊療養と自宅療養を特出ししています。先般の感染症法改正では「都道府県知事は、宿泊施設もしくは当該者の居宅もしくはこれに相当する場所から外出しないこと、その他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることができる」としており、必ずしも宿泊療養、自宅療養に限定していません。日々刻々と対応が変わる中で、仮に宿泊療養と自宅療養以外の療養方法が出てくる、あるいはそれらが推奨されないような状況が出てきた際に、さらなる条例改正を必要とすることが懸念されます。都がスピーディに対応することに対して、むしろ足かせにもなり得ると危惧します。

また、私たちは、宿泊療養や自宅療養における具体的な課題を指摘する質問を行いました。実効性を高めていくには、具体的な取組を、様々な手段の中から選んでいく必要があり、条例改正はその選択肢の一つにすぎないと考えるからです。しかし、その答弁は「適切な方法は都が考えるべきもの」とのものであり、そもそも、本改正がなされなくとも、都は療養環境の整備に取り組んでいます。仮に議員提出で改正を行うのであれば、現在の法令では進めることができず、かつ、改正が行われることで新たな取組がより一層進むものであるべきと思いますが、残念ながら、そのような意義を受け取ることができませんでした

本条例改正案について、その内容を真摯に検討した結果、差別的取り扱いへの救済措置など、重要な項目もある一方で、新型コロナ対策への臨機応変な対応力の低下や実効性への懸念等を総合的に判断し、賛同しかねるという結論に達しました。

以上です。

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