こんにちは、
東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。
さて、東京都では第一定例会が開催されており、コロナ対策や令和三年度予算について審議が行われると同時に、新型コロナ対策条例改正案や東京都こども基本条例といった議員提出条例について、審議が続いています。
議員提出条例は、通常の予算や条例案と違って、議員同士で議場で質疑側と答弁者側に分かれて議論するため、白熱の展開になることが多く、それ自体は意義深いものだと思います。
しかし、こども条例の審議をめぐり、厚生委員会がストップするという状況が起きています。
この経緯については、厚生委員会に所属する森沢きょうこ議員のブログをご覧いただけると幸いです。
いまだ協議が続く中で、こうしたブログを書くことに対してご批判もあるかとは思いますが、
私たちは「全会派のみならず全都庁が賛成できる一致点」を見つけたいとの想いで取り組んできたことから、
その内容や経緯もお伝えし、都民の皆様にもご理解をえたうえで協議を続けていきたいと思っています。
1.原案と修正案について
現在都議会で大きな議論を呼んでいる「東京都こども基本条例(原案)」の内容は、以下の通りです。
原案作成には、公明党内のプロジェクトチームが様々な有識者や都庁側との意見交換を重ね、自民党と修正協議(後述)の上で、2/17に正式に議会に提出された後に、2/19に私たち無所属 東京みらい、2/26に東京維新の会、生活者ネットワークが共同提案者となり、5会派で共同提出されました。※2/19、2/26の日程を追記しました。
東京都こども基本条例(案)
(前文)
東京が持続可能な発展を続けていく原動力は、時代を切りひらく「人」であり、今と未来を担うこどもは、人が輝く東京の活力の源泉である。
こどもは、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である。
社会の宝であるこどもは、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある。
こどもの権利条約(児童の権利に関する条約をいう。以下同じ。)では、こどもに対するあらゆる差別の禁止、こどもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重を一般原則としている。
全てのこどもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならない。
「こどもを大切にする」視点から、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもの目線に立った政策を推進していくことは、様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命である。
また、新型コロナウイルス感染症は人々の生活に大きな変化をもたらし、とりわけこどもへの影響は顕著である。いかなる状況下においても、こどもの幸福を追求していくことが何より重要であり、東京都がなすべき責務を明らかにしなければならない。
こうした認識の下、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定め、こどもの健やかな成長に寄与することを目指し、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都(以下「都」という。)が取り組むべき施策の基本となる事項を定めることにより、こどもの健やかな成長に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において「こども」とは、十八歳に満たない者をいう。なお、こどもに関する施策の実施に当たっては、次条の基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとする。
(基本理念)
第三条 こどもは大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であるとの認識の下、こどもを権利の主体として最大限に尊重し、こどもの最善の利益を最優先とすることで、全てのこどもが、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体でこどもを育む環境を整備していかなければならない。
(こどもにやさしい東京の実現)
第四条 都は、社会全体でこどもを育み、こどもにやさしい東京を実現するため、こどもの目線に立った施策を率先して推進するものとする。
(こどもの安全安心の確保)
第五条 都は、こどもを犯罪、事故その他の危害から守るため、こどもの安全と安心の確保に必要な施策を推進するものとする。
(こどもの遊び場、居場所づくり)
第六条 都は、こどもが伸び伸びと健やかに育つことができるよう、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)と連携して、こどもが過ごしやすい遊び場や居場所づくりなど、環境の整備を図るものとする。
(こどもの学び、成長への支援)
第七条 都は、こどもの学ぶ意欲を尊重し、こどもの可能性を最大限に伸ばすことができるよう、一人一人の個性に着目し、自立性や主体性を育むために必要な環境の整備を図るとともに、こどもに寄り添ったきめ細かな支援に取り組むものとする。
(子育て家庭、こどもに寄り添った多面的支援)
第八条 都は、様々な不安や悩みに直面する子育て家庭を支援するため、特別な支援や配慮を要するこども及び社会的養育を必要とするこどもへの施策をはじめ、多様な子育てと働き方のための環境の整備、専門的な相談、情報提供その他の状況に応じた適切な取組等、多面的な支援に努めるものとする。
(こどもの意見表明と施策への反映)
第九条 都は、こどもを権利の主体として最大限に尊重し、こどもが社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図るものとする。
(こどもの参加の促進)
第十条 都は、こどもが社会の一員として尊重され、年齢及び一人一人の発達段階に応じ、学校や地域社会等に参加することができるよう、環境の整備を図るものとする。
(こどもの権利の広報・啓発)
第十一条 都は、こどもの権利及び利益の尊重に関する広報その他の啓発を推進するものとする。
(こどもからの相談への対応)
第十二条 都は、こどもの不安や悩みを解消できるよう、こどもからの相談に対応する体制の充実並びに家庭、学校、地域社会及び関係機関等との連携強化に努めるものとする。
(こどもの権利擁護)
第十三条 都は、国、区市町村その他の関係機関と連携し、社会状況の変化に応じ、こどもの権利及び利益を擁護するための体制の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(こどもに関する計画の策定)
第十四条 都は、こどもに関する計画を策定するに当たっては、第三条の基本理念にのっとるものとする。
(こども施策を総合的に推進する体制の整備)
第十五条 都は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。
(財政上の措置)
第十六条 都は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
(施行期日)
この条例は、令和三年四月一日から施行する。
これに対し、3/15に厚生委員会での質疑がなされた後に、3/18に都民ファーストの会、共産党の共同提案で「修正案」が提出されました。(日本共産党東京都議会議員団HPより画像転載)
議員提出条例の場合には、その他法令との整合性に問題がないか、誤った認識に基づく条文になっていないか、都庁提出よりも一層精査が必要であり、その趣旨やポイントだけで判断していくことはできません。
修正案が提出された後、委員会を無意味に止めているわけではなく、公明、自民、みらいがそれぞれに精査を行ったうえで、共同提案した立場からも、三者で合意した内容をつくり、再協議を求めるまでに多大な時間を要したということはご理解いただきたいと思います。
2.公式な日程と非公式な日程
今回の修正案が提出される経緯をふりかえると、なぜ前もって協議ができなかったのかと悔やまれます。これは、公式な日程や議会規則だけでは分からない部分があり、あえて非公式な日程についてもお伝えしないと意味が分からないと思うので、図で示しました。
上図に分かりやすくまとめましたが、以下( )内が非公式の日程になりますが、3/15に明らかにされている内容について速記録で確認しています。
(1月上旬 公明党作成「原案α」が都民ファ、自民に示される)
(自民党から修正申し出をうけ、協議が整う)
2月10日 議会運営委員会にて全会派に「概要」が説明される
2月17日 議会運営委員会にて全会派に「原案」が上程され、公明党、自民党に加え、みらい、維新、ネットが共同提案者になる(2/19に東京みらい、2/26に維新とネットが共同提案)※日程を再確認し追記しました。
3月15日 厚生委員会にて質疑
(3月16日 都民ファ、共産それぞれから修正案を提出したい旨のお話を伺う)
(3月17日深夜 共同提出「修正案」が非公式に示される)
3月18日 都民ファ、共産共同提案にて「修正案」が上程され、理事会が休憩に入る
(3月19日深夜 公明、自民、みらいで「再修正案」が合意し、再協議の申し入れ)
議員提出条例は、議会に正式に提出される前に、その内容について説明され、あるいは修正協議がなされることがほとんどです。
今回のケースでは、第三会派の公明党から第一会派の都民ファ、第二会派の自民党に事前の説明と修正協議がなされたことは当然のことといえます。これに対して、自民党との修正協議が進んだ一方、都民ファとは協議が進まなかったようです。
また、2/17~3/15の間に、共産党は修正案を出したいとの意向を示し、超党派の勉強会も開催されていました。私も参加させていただき、学び多き、ありがたい機会をいただきました。その真摯な姿勢には大変勉強させていただいています。
公明党が作成した「原案α」から考えれば、2か月以上の時間がありながら、今になって混乱してしまっていること、それによって様々な方にご負担をかけていることやご不安を与えていること、またこども達に恥ずかしい姿を見せてしまっていることに、私は大変恥ずかしい、申し訳ない気持ちをいただいています。
3.なぜ深夜まで
現在も厚生委員会理事会は休憩状態が続いており、コロナ禍の大変な時に深夜まで職員を待機させること等への批判もいただいています。これについては、議会規則の見直しも含めて別途検討を進めていく必要があると思っています。
実はこれについては、3月18日については、厚生委員長よりご提案があり、21時でいったん解散し、翌日協議しましょうというお話がありました。私たち含め公明、自民、共産からは賛成の意向が示したものの、都民ファーストの会からは返事がなかったため、解散できなかったと聞いています。
また、繰り返しになりますが、修正案を提出されてから二日間、夜を徹して、その精査と検討、さらには3会派の合意に向けて取り組んでいたのであり、決して無意味に長引かせていたわけではないことはご理解いただきたいと思います。一方で、この間、時間稼ぎのようなことをしていたのも事実であり、長引いた原因はこちらにあるとする意見があるのも確かですし、否定はしません。
ここでご理解いただきたいのは、委員会運営を特定会派の責任にするのは避けるべきということです。どちらにも言い分がある中で、一致点を見出していこうというのが理事会だと思います。もう一度、落ち着いて議論のテーブルにつけることを心から願っています。
4.全会一致をあきらめない
3月19日の深夜、公明、自民、みらいで合意した「再修正案」をもって、再協議を求めていますが、残念ながら「再修正案」については、都民ファ、共産にお渡しすることはできていないことは大変残念です。
その内容を見ていただければ、誠意をもって取り組んできたことがよくご理解いただけるものを用意したつもりです。お互いに思惑が合致しないのだとは思いますが、まずは協議のテーブルにつくことができるよう願うものです。
私たちは一貫して「全会派のみならず全都庁が賛成できる一致点」を目指していることに変わりなく、賛成多数ではなく、全会一致の賛成への道をあきらめることなく進みたいと思っています。
5.先輩方に感謝
実は、昨日時点では、推測も含めて全部ぶち壊してしまうブログを書くかという投げやりな気持ちにもなっていました。そんな中、共産党の和泉なおみ議員からお電話いただき、共産党も条例成立させたい、協議を続けたいというお話を伺いました。お忙しい中にも関わらず、どうすれば協議を再開できるかと真剣に悩んでいただきました。
また、斉藤れいな議員もブログで触れていますが、公明党の皆さんが当初から政局にしないと公言され、地道に進めてきた原案であることに加え、たった二日間で関係各所へのヒアリングや会派内外のとりまとめをおこなった公明党のまつば多美子議員の歯を食いしばって取り組む姿を思い出せば、ここであきらめるわけにはいかないと気を引き締め直しています。
今日のブログは、賛否両論あるかと思います。本件に政局がからんでいることも否定しません。
しかし、原点に戻って、各議員が願い続けてきた「こども条例」の成立へ、もう一度同じテーブルを囲んで協議できるよう、私に何ができるのかと考えました。
少なくとも、私は選挙に関して、現在もこれからも、いずれの党とも選挙協力を行う予定はありません。政局=選挙と考えるなら、その点で中立な立場にある私が、できるだけ誠実に経緯や考えを明らかにすることが事態を動かすことになるとかもしれないと考え、ブログに記しました。
こうした機会を通じて、東京都の未来を描く重要な議論に参加させていただいていることへの責任を自覚し、自分自身も成長させていただいていることに感謝し、取り組んでいきます。
皆様も、都議会での論戦を見守り、またご意見いただくなどして、政治にご参加いただきますよう、お願い申し上げます。
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