こんにちは、
東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。
先ほど、知事の記者会見があり、東京都では、新たに3つの新型コロナ対策が取られることになりました。
①高齢者施設での入所者等への積極的なPCR検査
②新型コロナ対策条例を改正し、ガイドライン順守を努力義務化
③8/3~8/31の期間、酒類の提供を伴う飲食店やカラオケ店への時短営業(5:00~22:00までの営業)を要請
※あわせて、協力金として20万円を支給
①に関しては、かねてより「積極的な検査を行うことが、感染症対策の基本である「検査・追跡・隔離」につながる」として、要望してきたことでもあり、納得のいく内容です。一方、感染の抑え込みに成功しつつあるニューヨークなどでは1日6万件の検査を行える状態であり、それと比べると「1万件をめざす」という状態の東京ではまだまだ足りないことは明らかです。
これについては、今日の都議会本部会議において福祉保健局長より「足りていない」旨の発言もあったところであり、引き続き、要望を強めていきます。※この点については、斉藤れいな議員のブログをご覧ください。
問題は、②と③です。この2点は、感染拡大を抑えるためにセットで出されたようですが、疑問が残ります。
②の条例改正については、4月に制定された新型コロナ対策条例では、都民及び事業者に対して以下のような努力義務が課されていました。
・新型コロナウイルス感染症の予防に努めるとともに、都の新型コロナウイルス感染症対策に協力するよう努めなければならない。
・新型コロナウイルス感染症に関連する者に対して、り患していること又はり患しているおそれがあることを理由として、不当な差別的取扱いをしてはならない。
平たく言うと、「感染予防しようね、感染した人を差別しちゃいけないよ」ということが理念として書かれています。
今回は、この部分が改正され、以下のような文言が追加されます。
・事業者は、本部設置期間において、都、国、特別区、市町村及び事業 者が加入している団体等が定めた新型コロナウイルス感染症のまん延の防止 のための指針(以下「ガイドライン」という。)を遵守するよう努めなけれ ばならない。
・ガイドラインを作成した者は、当該ガイドラインを公表するとともに、その対象となる事業者に対し当該ガイドライン及び次条第一項に規定する標章 を周知し、必要に応じて、当該ガイドラインの見直しを行うよう努めなけれ ばならない。
・劇場、飲食店その他の集客施設を運営する事業者は、本部設置期間に おいて、施設の入り口等利用者の見やすい場所にガイドラインに定める措置 を遵守していることを示す知事が別に定める標章(以下単に「標章」という。) を掲示するよう努めなければならない。
・催物等を主催する者は、本部設置期間において、当該催物等の実施に当た り、開催場所の入り口等来場者の見やすい場所に標章を掲示するよう努めな ければならない。
・都民は、新型コロナウイルス感染症の予防及びまん延の防止の観点から、 施設の利用及び催物等への参加に当たっては、標章が掲示されている施設の 利用等に努めなければならない。
・都民及び事業者は、新型コロナウイルス感染症のまん延の防止の観点 から、本部設置期間において、施設、店舗等で新型コロナウイルス感染症の 感染者が集団的に発生した場合等にインターネットを通じて通知されるサー ビス等の活用に努めなければならない。
つまり、
✓事業者は各業界等が策定した感染拡大防止ガイドラインを守るよう努めてください。
✓感染拡大防止ガイドラインを守っている事業所や店舗ではステッカーを掲示するように努めてください。
✓イベント等を開催する場合も同様に、ガイドラインを守り、ステッカーを掲示するよう努めてください。
✓都民の皆さんは、ステッカーの貼ってあるお店を選ぶように努めてください。
✓国や都が出している感染情報通知アプリを使うように努めてください。
ということなのですが、
果たして、これで感染拡大を抑えられるのかといえば、効果は薄いと思っています。
これらの内容は、今までも繰り返し言われてきたことであり、
この条例改正では、努力義務を課しただけで、守らなかったからといって罰則があるわけではありません。
また、このステッカーはあくまでも自己申告なので、本当に感染拡大防止対策が徹底されているのか確認することはできません。
さらに、ガイドラインを遵守したからと言って、感染リスクはゼロにはなりません(下がるとは考えられています)。
今日の会見では、100万ステッカーを目指すとの話がありましたが、
ステッカーが街に増えることと感染拡大リスクを抑えることは必ずしもイコールとはならないのです。
たしかに、都民の意識を高めるという点には効果があるかもしれません。
しかし、何らかの理由でステッカーを貼れない店舗へのバッシング、ひいては経営を追い込むことにもなりかねません。
加えて、この条例改正は、専決処分といって、議会の審査や議決を経ずにすでに決定しています。
努力義務とはいえ、都民や事業者のの皆様の行動に制約をかけることになります。
それによって想定されるリスクや対応策について議論を重ねて初めて、意義ある有効な制度はできていきます。
都は緊急性を要するということを理由にしていますが、この状況になることは2か月前にアラートを解除してすぐの頃に予見できました。
感染拡大の予兆が出始め、本来であればアラートを発すべきタイミングで発することをせず、
今になって、「お願い」ベースでは効果が薄いと条例改正を行うというのは、
これまで再三危機感を伝えてきた立場からすると、大切なプロセスを飛ばしたやり方について、きわめて遺憾です。
また、③の時短要請と協力金をみて、4月前半を思い出す人もいるのではないでしょうか。
当時も、国の動きの鈍さに対抗するように、条例をつくり、休業要請を行い、協力金の支給を決めました。
私は、都政の継続性を重視して小池知事の再選が望ましいという立場でしたが、同じ対策を続けて欲しいということではありません。
指摘されている飲食店での感染は全体の2割程度です。
確かに増えてはいますが、かならずしも飲食店が感染源かといえばそうではありません。
22時以降を休業要請する理由、協力金の金額(20万円)、いずれも根拠があるわけではなく、対症療法と言わざるを得ません。
先日、まったく違うテーマの勉強会で、
「目の前にある症状に対して必死に頑張ってもうまくいかないときは、その30分前に原因があるかもしれないと考えなさい。」
という話がありました。
感染が広がり、目の前に起きている課題に手いっぱいであることは理解していますし、感謝と敬意を表したい気持ちでいっぱいです。しかし、本当の原因はどこにあるのか、数か月前までさかのぼり、その根本にある問題を突き詰める必要があります。
これからも、検証の必要性、検査・追跡・隔離の徹底を軸に、
皆さんからのお声を届けていけるように、あきらめずに取り組んでいきます。
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