2020.04.11

大義と共感、手段と目的、緊急事態と協力金

こんにちは、

東京都議会議員(町田市選出)の

おくざわ高広です。

 

大義と共感

緊急事態宣言に伴う、事業者等への休業要請について会見する小池知事から発せられた言葉に、はっとしました。

 

4月に入り、新型コロナウイルス感染症をめぐって、様々な動きがありました。

国はいつ緊急事態宣言を出すのか、どのような対策を講じるのか。

それを受けて、都はどのような対策を打ち出すのか。

 

結果としては、4月7日に国は緊急事態宣言を出し、同時に108兆円規模の緊急対策を打ち出しました。

都としては、すぐにでも事業所等への休業要請を出す予定でしたが、

国との調整に時間を要し、本日4月10日、事業者等への休業要請を正式に発表しました。

それとあわせて、感染拡大防止協力金についてもその金額が示され、今後詳しく制度がつくられていくことになります。

 

なお、同僚の森沢きょうこ議員、斉藤れいな議員がそれぞれ詳しくまとめてくれています。

感染爆発を防ぐために…「人の流れを止めたい」~緊急事態措置で休業要請

東京都の休業要請対象について解説。また、その内容も受け緊急要望第6弾を提出しました。

 

様々なご意見があろうとは思いますが、5月6日までの取組について大枠が決まりました。

国も都も、その大義と目標は共通しています。

 

大義:「新型コロナウイルス感染症拡大を食い止める」

 

目標:「人との接触を8割減らす」

 

では、どのように達成するのか。

 

手段:「外出自粛要請+休業要請」

 

当初、国と都の考え方の違いはありましたが、手段についても一致しました。

※ちなみに、この国と都の合意をみた会談は、議員おくざわの産みの親と政治家奥澤の育ての親の直接対決で、複雑な感情で見ておりました。

 

では、本当に外出自粛や休業してもらえるのか。

諸外国で見られるような罰金などを伴う強い強制力を発揮することができない法体系の中では、

これまでの(法に基づかない)要請と変わらないのではないか。

都営交通の利用料をつぶさに見てきた中で、これまで通りの方法では人の流れを止めることはできない。

このまま患者が増え続ければ医療崩壊を起こしてしまう

 

次の一手は何か、それが東京都独自の「感染拡大防止協力金」です。

「感染拡大防止には協力したいけど、暮らしがかかっているから営業を止めるわけにはいかない。」

多くの方々が抱いているジレンマを解消し、行動に移してもらうという目的を達成するために、

「協力金」によって、共感を得ることで背中を押そうとしているのです。

 

強い権力で縛るのではなく、都民の良心に賭けるだけでもなく、

大義と共感による政治の本質を見た気がします。

 

この辺りの発想は、なかなか役人には分かりにくく、

首相周辺との意見の隔たりにも通じていたんだろうなと思うところです。

 

とにかく、2週間後の未来を変えるため、今、行動を起こしましょう。

ご理解とご協力をよろしくお願いします。

 

この間、都議会議員は何をしていたのかということもお伝えしておきたいと思います。

都議会では、2月中旬から3月下旬までは議会で新型コロナ対策をこぞって取り上げ、閉会後は様々な要望を行ってきました。

ここにも大義と共感、手段と目的が存在します。

大義は先ほどと同じく「新型コロなウイルス感染症の拡大を食い止める」ことであり、

議員の目的は、「都庁の職員を動かし、都民生活をより安全で安心なものにする」ことです。

 

しかし、その手段については、政党や議員ごとに色があり、

大きく分けると、

知事への批判や議員の権能を発揮して、あるいは制度の矛盾を指摘して物事を動かそうとするタイプ

都民の声に基づく要望やエビデンスに基づく政策提言をもって動かそうとするタイプがあります。

※国への批判をするタイプもいますが、これは都庁職員を動かすことにはつながりませんので、ここでは横に置いておきます。

 

私たち無所属 東京みらいは、後者の都民の声とエビデンスを合わせて動いてもらおうと日々努力をしているわけですが、

改めて、どのような内容を求めてきたかと見返してみると、

第一弾(3/3)では、休校中の昼食提供を都が支援することになり、国によるフードバンク連携も表明されました。

第二弾(3/11)では、オンライン学習環境整備や病床確保、設備改修の支援が講じられました。

第三段(3/26)では、陰性患者のフォローアップや軽症患者の宿泊施設での療養、人工呼吸器の確保といった検査・医療体制の充実が図られ、また、経済面では飲食店等がデリバリーやテイクアウトを始める際の支援が実施される見通しです。

第四弾(4/1)では、店舗経営者への支援が協力金という形で実現し、保育所等は一律に閉園するのではなく必要とする方々に向けて開園を要請することなどが決まりました。また、マスクや消毒液を社会福祉施設に優先的に配布することなども行われているそうです。

※ただし、保育所等はリスクを承知で開園しているものであり、それに見合った支援を講じるよう、都に求めています。

第五弾(4/7)では、緊急事態宣言への問合せ対応において意見が取り入れられ、また、東京都特有の事情に鑑みた特措法の運用を国に働きかけるよう要望することで、国との調整を後押ししたつもりです。

第六弾(本日提出・後掲)においては、要請の効果をより発揮してもらうべく、休業要請のみならず、短縮営業を行う飲食店等についても協力金の対象に加えることなどを要望し、それも対象に加えられることとなりました。また、居所を失う方に対して住所によらない支援を求め、一部実現しています。

※短縮営業と全面休業では、その協力金の額を変えたほうがいいとも思いますが、それは今後の議論とします。

 

全てではないにしろ、多くの要望が届いたことは嬉しいですが、私たちがやりました、とは口が裂けても言えません。

他の会派から同じ求めがあったもの、都庁職員に気づきを与えることができたもの、また都民の皆様から声が上がったもの

様々な主体が一丸となって、この難局を乗り越えようとしています。尊敬と感謝でいっぱいです。

 

議員という仕事をしていると、様々な声をお伺いします。

その声に応えようとしていると、ふと自らの存在価値や大義、目的を見失うことがあります。

批判も提案も大義や目的を達成するための手段にすぎないのに、それが目的化してしまうことがよくあります。

そのようなとき、いつも引っ張り戻してくれる仲間たちがいるのは心強い限りです。

 

4月17日から22日の間、臨時会が開催され、新型コロナウイルス感染症に関する特別委員会が開催される予定です。

新型コロナウイルス感染症の拡大を食い止め、

その先には、皆様が力強く再出発することができるように。

医療を守り、最前線で頑張る人の気持ちに応え、

きめ細かなセーフティネットをはり、次世代の働き方や業態への転換を後押ししていく。

さらには、助け合い支え合う社会貢献の輪を定着していく仕組みをつくる。

そんな役割を果たすことができるよう、心して取り組んでいきます。

 

引き続き、皆様からのご意見をお待ちしています。

今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。

 

以下、緊急要望第六弾の内容となります。

新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するべく、国では緊急事態宣言が出され、都ではより一層の外出自粛を要請しています。さらに、更なる拡大防止を図る観点から、明日から事業所等に対する休業要請が行われます。それらを踏まえ、各種要請の実効性を高めるための経済対策とあわせて、長期化する自粛要請によるDV等のリスク増大への対応について、以下の通り緊急要望いたします。関係各局と連携の上、適切かつ迅速な対応をお願いします。

【経済対策】
感染拡大防止に向けた事業者等への休業要請の実効性を高めるには、感染拡大防止協力金の内容や対象が重要であり、また、東京都特有の事情を考慮した独自の支援を講じるべきです。
そこで、以下の通り要望します。
・ 営業時間短縮の要請を行う居酒屋や特措法によらない協力要請を行う100㎡以下の学習塾等についても、要請の実効性を高めるために、感染拡大防止協力金の対象とすること。
・ 商業施設やビル等の休業に伴い、休業を余儀なくされるテナント店等があることに鑑み、施設オーナーに対する賃料の支払い猶予要請とその間の損失補填、加えて、当面の店舗賃料相当の無利子融資を行うなどの支援を講じること。
・ 施設利用の制限が行われ、その施設利用者である事業者や発注先事業者、またアーティスト等の個人事業主は休業を余儀なくされることになる。事業の損失が多額となり事業者が倒産してしまうことを防ぎ、文化活動の継続を守るため、無利子無担保の融資を行うことや、配信等サービスの提供を目指す場合の支援や寄付の制度を構築するなど、独自の支援を講じること。(第三弾で一部要望済み)
・ 保育施設については、休業要請ではないものの、各自治体から利用者への自粛要請が出ていることを鑑み、その利用人数によって報酬や収入が減少した場合は、独自の支援を講じること。
・ 高齢者通所施設や障害者通所施設など、テレワークでの利用者支援も報酬加算の対象とするなどの財政支援を国に要望すること(第五弾で要望済み)

【ひとり親への支援】
・ 兵庫県明石市や愛知県安城市などでは、ひとり親世帯への生活支援として3万円の現金給付が予定されている。東京都は、全国の中でも家賃相場が高い等の特有の事情に鑑み、区市町村がひとり親世帯等に対して行う取組を支援すること。

【DV被害者や若年女性、児童虐待等への対応】
WHOや国連機関UN Womenは外出自粛要請に伴い家庭内暴力(DV)の増加が懸念されるとして、各国に対応を求めています。海外では外出自粛要請後、翌週末に寄せられたDVに関する電話相談の件数が65%増加した、配偶者暴力の件数が1週間で36%増加したという報告もあり、家庭内暴力等への対応は不可欠です。また、外出自粛が長期化することで、心と体の健康を維持することが困難になる家庭も少なくないと思われます。
そこで、以下の通り要望します。
・ DV等に関する都の相談窓口や一時保護施設の存在について、SNSの活用やインターネット広告なども活用して、より一層の周知を行うこと。
・ 配偶者暴力被害者支援センター、東京ウィメンズプラザ等の相談窓口、また、児童虐待を防止するためのLINE相談の運営を継続すること。
・ DV被害者と加害者は同じ住戸の中で同居していることも多く、外出自粛や在宅勤務に伴い、電話での相談が困難な状況がうまれており、夜間も対応可能な、SNSやメール等を活用したオンライン相談窓口を早急に設置すること。なお、フランスで行われているように、警察等による24時間受付の緊急通報窓口についても検討すること。
・ DV被害者や若年女性等に対するアウトリーチ型の支援に取り組む民間団体が活動を継続できるよう支援すること。
・ DV被害者や若年女性等を支援する民間団体によると、一時的に保護が必要な方が増えているとのことであり、都として、シェルターとしての利用が可能な民間宿泊施設等を紹介するなどの適切な支援を講じること。
・ 新型コロナウイルス感染症に係る公的な支援について、住民票や身分証を持たないDV被害者の申請が可能となるよう、東京都配偶者暴力支援センターでDV証明を迅速に発行し、速やかに転出と新たな居住地への転入ができるよう支援すること。
・ 児童相談所の児童福祉司が家庭訪問等の業務を強化することができるよう、施策を講じること。また、児童・生徒の暮らしの安全と心身の健康を確保するため、教員による電話等での声がけを継続し、適切な支援へつなげていくこと。(第四弾で要望済)

【住民票や身分証明書によらない支援】
東京都の調査によると、都内ネットカフェ等に寝泊りする人は4,000人を越えるとされており、また、上京してきた大学生や出稼ぎ労働者など、都内で生活をしながらも、住民票は都外にあるという方も存在します。こうした方々の健康を維持し、また都外への移動を防ぐことは感染拡大防止に非常に重要であり、住民票や身分証明によらない居場所の確保が必要です。
そこで、以下の通り要望します。
・ 新型コロナウイルス感染症に関する様々な支援を講じる際には、住所不定あるいは身分証明書をもたない方についても、適切な支援に繋げることができるよう、各種窓口の対応を徹底すること。加えて、住民票や身分証明によらない支援のあり方を早急に検討すること。
・ ネットカフェ等への休業要請に伴い、居場所をなくす方が多数発生することが想定されることから、その緊急性を鑑みた支援を講じる必要があるり、「失業等に伴う住居喪失者への一時住宅等の提供」について、その支援を必要とする人に確実に情報を届けること。また、その相談の際には、丁寧な聞き取りを行い、適切な支援に繋げるとともに、更に多くの住宅等の提供が必要となることを想定し、住戸数の大幅な拡充を検討すること。

【感染防止対策】
・ 適切な感染拡大防止対策の協力要請を行う施設の中でも、「3密」を避けづらい施設や業種については、マスクや消毒液などを優先的に配布するなどの支援を講じること。また、要請の対象施設として明記はされていないものの、民間シェルターや無料低額宿泊所等を運営する民間団体等についても、同様の対応を行うこと。

以上

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